トラブルの多い寺院の墓じまい

墓じまい

墓じまいの中で最もトラブルが多いのが寺院の墓じまいで、公営の霊園の墓じまいと違う所は寺院の場合は檀家になっていることが多く、墓じまいと共に離檀の問題もあるのです。

檀家を辞めたい

困った顔のイラスト

寺院の檀家になっていればお盆彼岸の供養、法事の案内や寄付金の案内などが来ますが、この案内や寄付などが面倒に感じられたり、押し付けだと思う方が増えているのです。

また、寺院に対して親しみが持てない、お金のことばかり言われる、得られるものが何もない、お布施が住職の贅沢三昧に使われている、お金の有り無しで対応が違う、相談に行っても真剣に考えてくれない、説教されるなどの日頃の不満が寺院離れに繋がっていると思われます。

今の時代、寺院も後継者不足や檀家離れによる運営悪化が問題になっていますが、江戸時代から続く檀家制度に依存し過ぎた結果として現在も寺院離れが加速しているのです。

寺院とのトラブル

永代供養トラブルのイラスト

寺院とのトラブルは大きく分けて「寺院との墓じまいトラブル」「寺院との改葬トラブル」「石材店とのトラブル」があります。

寺院との墓じまいトラブル

公営の霊園では墓じまいの申請をしても理由を聞かれたり拒否されるようなことはありませんし、遺骨改葬先に不満を言われるようなこともありません。

ところが寺院墓地での墓じまいはまず寺院に行って住職に墓じまいをしたいと相談しても、寺院の住職の対応によっては「もう少し考えなさい」「今やらなくてもいいじゃないか」「許可しない」などの否定的な答えを含めて何を言われるか分かりません。

特に地方では若者が都会に出て定着することが多くなって地方の空洞化が進むことで、寺院側としては檀家の数が減っているという現実があり、運営が困難になり、これ以上檀家が減っては困るという事情があるからなのです。

寺院との改葬トラブル

寺院の住職との間で墓じまいの了承を得た所で、墓じまいの条件としてお墓に埋葬されている先祖の遺骨は寺院の合葬式永代供養納骨堂を利用しないと許可しないと言われることがあります。

その費用にしても遺骨一体あたり数十万円必要と言われて墓じまいを断念した人がたくさん居るのです。

合葬式永代供養や納骨堂の無い寺院でも散骨したいと申し出ると「罰が当たる」と言われた人も居ますし「成仏できない」と言われた人も居ます。

寺院には墓じまいした後の遺骨の改葬先にまで口出しするような権利は無いはずですが、寺院でのトラブルが多いのは、こういった個々の対応に住職の人間性が如実に表れるためです。

石材店とのトラブル

墓じまいの施工に際して寺院が指定する石材店しか使うことが出来ないという指定石材店の制度がある場合には、決められた石材店しか使うことが出来ません。

指定石材店は仕事が入る度に寺院に対して謝礼金を渡すような仕組みであることが多く、一般の石材店よりも高い墓じまいの見積りとなるようです。

稀にですが、法外の費用を提示しておいて、嫌なら頼まなくて良いというあからさまな態度を取られることがあります。

石材店を変えたいという相談を数多く受けますが、寺院内での決まりごとに対しては外部の者が口出しすることが出来ません。

寺院の本来の役目は

僧侶の説明イラスト

寺院の役割は本来、困窮者の救済であり、後継者が居なくて御先祖様を何とかして欲しいという真剣な気持ちで相談に行っても法外な費用の永代供養をすすめられたり、機嫌を損ねて許可しないと言い出したりで、困った人を益々苦しめるような対応を取られますと、一刻も早く寺院との関係を断ち切りたいと思うようになるのは当然のことなのです。

後継者の無い方の墓じまいはやむを得ないとしても、寺院が嫌いだから墓じまいして離檀という事態を寺院としても真剣に考えないといけないのではないでしょうか。