土に還る
私達の祖先が土葬の時代には、人が亡くったら集落の外れや集落を見下ろす山の上に埋葬され、時間をかけて土に戻っていました。
肉体が土に還る時間
私達の身体は死して土中に埋葬されますと腐敗や土中に浸透、微生物の分解などで約50年程で完全に土に還りますが、骨はまだ残ります。
人間の身体は50~75%が水分で構成されていることから、体液や血液などの水分は蒸発したり土中に浸透などで早い段階で失われ、次に筋肉や脂肪、内臓などの組織が腐敗や土中に浸透、微生物の分解などで土に還っていくのです。
土葬が禁止されて火葬へと変遷していった理由の一つに「伝染病の蔓延防止」が挙げられていますが、これは伝染病で亡くなった人を土葬すると体液が地下水に流れ込んで伝染病が拡散する恐れがあるからという理由によります。
肉体の中でも骨だけは分解されにくく、もっと長い時間をかけないと土に還らないのです。
骨が土に還る時間
骨はリン酸カルシウムが主成分の硬い物質でアルカリ性になりますから、酸性の土壌では早く溶けるということになります。
また洞窟や鍾乳洞で古い時代の人骨が発見されるのは、洞窟を形成する石灰岩の主成分が炭酸カルシウムであり、弱アルカリ性であるために洞窟内で死んだ生物の骨が溶けることなくそのまま残っているのです。
沖縄県石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡から見つかった旧石器時代の人骨が、全身骨格がほぼ残った人骨としては国内最古の約2万7千年前のものであることが分かり、現在の私達日本人の祖先と繋がりのあることがDNA解析で解明されています。
洞窟などの特殊な環境を除いて一般的な土壌では土の性質にもよりますが、100年~200年ほどで骨が土に還ります。
土中の微生物や昆虫による分解作用が大きく、雨水や地下水などによる溶解拡散、植物の根による吸収分解などの様々な要素により時間をかけてゆっくりと自然に還っていくのです。
土葬の遺骨
土葬は明治時代までは最も一般的な葬送の方法として利用されてきたのですが、埋葬するのに広い場所が必要であること、一旦埋葬された場所がすぐには新たな埋葬場所として使えないこと、伝染病の蔓延防止などの目的のために歳不を中心として火葬に切り替わり、今の時代では約99.9%が火葬になっています。
土葬では100年~200年程度の時間の経過と共に人々の記憶から消し去られ、再び新たな埋葬場所として使われますので、こういう方法ですと墓じまいは不要です。
比較的新しい時代の土葬を墓じまいする時には、墓石の撤去と土中を掘削しての遺骨収集の作業が必要になります。