火葬とは
火葬とは亡くなった人の遺体の腐敗を止めるために火で焼く葬送の方法。
火葬の理由
亡くなった人の遺体は亡くなった瞬間から腐敗が始まりますので、亡き人の葬送をしながらも遺体を処理する必要があります。
生命活動が止まった遺体は体液が流れ出てきたり、匂いがしてくるのです。
夏場にはハエなどの虫が飛んでくることになり、不衛生な状態に晒されてしまうのです。
葬儀社はそういった点を心得ていて、棺桶の中にドライアイスを入れたり、エンバーミングと言って死後の遺体の処理をすることで死者の尊厳を保ちながらも衛生的に葬送を行うことが出来るのです。
そういった処理を施しながらもやはり限界がありますので、火葬することによって遺体の腐敗を止めて焼骨だけを残し、尚且つ死者の肉体の容積を減らすことが出来るのです。
土葬の時代
我が国での庶民階級の人達は古代より、死して村はずれの遺体捨て場に捨てられるような扱いでしたから、死体は犬やカラスなどの動物に食べられる運命にありましたが、これが本当の意味での自然葬であって、自然に任せるという方法が地球上の生き物としての定めでもあるのです。
江戸時代になってからは庶民でもお墓を持つ人が増えてきますが、基本は棺桶に入れた遺体を、掘った穴の中に入れて土を被せる土葬であり、金銭的な余裕のあ人はその上に墓石を置いたものが今でも残っています。
土葬の時には亡き人の遺体を棺桶に入れて棺桶ごと土の中に埋葬すればやがて100年位の時間をかけて土に還っていくのです。
土葬のデメリット
土葬の時には遺体を棺桶ごと埋めますし、100年以上の歳月をかけて土に還っていくのですから、一度埋葬された場所には新たなお墓を作ることが出来ないので、土葬のお墓は広大な土地が必要になります。
特に都会の近郊には墓所としての広大な土地を準備するのが難しいために、都会での人口の急激な集中と同時に火葬場と骨壺を納めるための近代的な霊園が急ピッチで進められたのです。
土葬はエネルギーの消費が少なくて理想の自然葬なのですが、広大な土地が必要なために急速に衰退していったのです。
火葬のメリット
火葬は燃料としての莫大なエネルギーを消費しますが、短時間の内に死者の遺体の処理が出来ますし、大きな棺桶の中に納められていた大人の人であっても小さな骨壺の中に入れて遺骨を持ち帰ることが出来るのですから、葬送の簡略化に大いに貢献したのです。
我が国では一部の山間部を除いてほぼ100%が火葬になっていますが、火葬が済んで壺の中に入れて持ち帰った焼骨は昔のように土葬ではなくて、石室に囲まれたカロートの中に安置するようになったので、何時まで経っても自然に還らないという新たな問題が発生しています。