お墓とは
お墓とは死者の遺体や遺骨を埋葬して死者を弔い、供養や仏事、神事などの祭祀を行う場所のこと。
葬送の歴史
私達の祖先は、狩猟生活を経てコメ作りを始めた頃から共同生活が始まると、人が死んだら一定の場所に捨てたり埋葬する習慣がありました。
縄文・弥生時代を経てクニができ、支配者がでてくると、支配者同士の権力争いが起こるようになり、その権力の大きさを示すために大きな墓を作ったのが古墳の始まりです。
古墳は死後の世界をあらわしていると言われ、死後にも豊かな生活が送れるように、そしてまた生まれ変わってくるようにとの再生の願いを込めて豪華な副葬品を入れたのです。
しかし古墳に眠ることができたのは一部の権力者だけで、ほとんどの人が穴を掘って埋めたり、一定の場所に捨てられていたのです。
火葬の始まり
中世になって仏教の影響を受け、文武4年(700)僧道昭の遺言により火葬にされたのが、火葬の始まりということになっていますが、この頃から火葬した後に残った遺骨を壷に入れて埋葬する方法がでてきます。
しかし火葬という方法は大量の薪などの燃料を必要とする方法だったために、まだ庶民は土葬や山野に放置するやり方が主流でした。
お墓の始まり
近世になって仏教が浸透してくると、貴族が石塔を建てたり寺院に墓地を建てたりしています。
檀家制度により全ての人がお寺の檀家になって寺院の管理下に置かれ、裕福な者は埋葬した盛り土の上に石塔や塔婆を建てましたが、庶民は盛り土をして石などを上に置く程度でした。
明治維新によって檀家制度は廃止されましたが、それまでに築かれた寺と民衆との絆は固く、現代に至っても仏教徒の占める割合は他の宗教に比べて群を抜いています。
現代は人口の都市部への集中などの影響で墓地霊園の需要が高まったことを受けて郊外に、大規模な霊園が作られるようになりました。
また墓の形式も自由になり、芸術作品のような墓や、詩や俳句を刻んだものなどがあり、最近は自然を生かして公園風にアレンジした公園墓地や樹木葬などに人気があるようです。
埋葬とは
埋葬とは死者の遺体を土中に埋めることですから、本来は土葬のことを指しています。
私達は本来、地球上の生き物として生きている以上、死して大自然に還り、次の生命を育てる糧となる運命を背負っているのですから、知能ある人間として祭祀の習慣があるにしても、何時かは必ず大自然に還る必要があるのです。
埋葬の本来の意味は死者を土に埋めることによって土に還すことであり、土は人の身体を土に戻す作用を持ち合わせているのです。
現代のお墓
現代のお墓は石やコンクリートで出来たカロートと呼ばれる納骨室の中に更に陶器の骨壺に入れた遺骨を納めることを埋葬と言っているのです。
しかしこれは土中に安置しているだけで本来の「埋葬」ではありません。
これは土葬から火葬に替わった時に出来た習慣であり、お墓は死して土に還る場所ではなくて、遺骨の入った骨壺を安置する場所になってしまったのです。
これではたとえ千年経っても骨壺の中の遺骨はそのままで、土に還ることなど絶対にありませんので、何時かは必ず継承者が居なくなって管理できなくなる仕組みになっているのです。
もうそろそろこの不自然な仕組みに気付く必要があります。
現代のお墓はもう、お墓としての土に還るという本来の機能を失ってしまっているのです。
今ではお墓を新規に作ることよりも、墓じまいの方が増えています。
お墓を維持管理できなくなっているのです。
それでもお墓が必要ですか?