火葬場とは
火葬場とは亡くなった人の遺体を火葬する施設のことで、国民が平等に利用できるように公営の設備として各都道府県にあり、東京都では民営の火葬場もあります。
火葬場と斎場の違い
斎場とは通夜、葬儀、告別式などを行う会場のことで、火葬場とは火葬を行う場所のことです。
斎場と火葬場の違いは火葬をするための設備があるかどうかの違いになります。
火葬の権利は憲法で保障されている
人が亡くなった時にその肉体をそのままにしていたら腐敗が進み、衛生上の問題が生じます。
亡くなった人の遺体を山林などに埋葬することは墓地埋葬法で禁じられています。
今の日本では亡くなった人の遺体は火葬場で火葬してもらうしか方法はありません。
身寄りのない生活保護受給者の方が亡くなった場合には家主や自治体などが最低限の葬儀を代行し、その費用は葬祭扶助制度で全額賄われることから、経済的に困窮していたり、障害などの理由でお金が無いような場合でも国民の権利として火葬が受けられるのです。
全国的に火葬場は不足している
一昔前の火葬場は亡くなった人の火葬が始まると煙突から黒い煙がモクモクと立ち昇り、カラスの群れが火葬場の周りを飛び回るような不気味な場所というイメージでしたが、近年では近代的な建物と最新式の火葬設備の導入が進み、匂いや煙が全く出ないクリーンな設備に生まれ変わっています。
近年では亡くなる人が増え続けていることから、多くの自治体では設備をフル回転しても火葬待ちの遺体が増え続け、特に都市部では火葬待ちのための冷蔵設備を増設しているのが現状です。
新たな場所に火葬場を建設すれば済むことですし、住民サービスですから不便なことが無い様にするべきなのですが、火葬場の建設計画が作成されると必ず周囲近隣住民の反対運動が起こり、どの自治体も頓挫しています。
自分達も利用するであろう火葬場が出来ることに対して反対運動が起こるのは、自分の家の前を霊柩車が通るコースになると地価が下がると言われているからです。
特に神道では死を穢れと見做し、身内に死者が出ると神棚に白い紙を貼って穢れを移さないようにし、葬儀が済んで家に入る時には塩で祓い清める習慣があることから、なるべく死の穢れに触れないことが求められるのです。
遺体を積んだ霊柩車が通ると縁起が悪いと思われるのは心情的に仕方のないことなのですが、そういった人々の心情が世の中に広く浸透しているので、自宅の前を霊柩車が通ることに対して忌み嫌うことが通説となり、結果として地価が下がるのです。
死は必ず訪れる
人の死は誰にでも必ず訪れるものですから、亡き人をあの世に送る葬祭は必要ですし、土葬に戻る訳にはいかないでしょうから火葬の設備も必要です。
火葬は生身の身体を短時間で遺骨にしてくれるとても便利な設備です。
私達の身体は大宇宙からの借り物であり、借りた物はお返しするという基本から、何も残さずに綺麗に消えていきましょう。
残された遺骨は粉骨して大地か海に散骨すれば借りは返すことが出来ます。
火葬場はその手助けをしてくれる設備なのです。