理想のお墓とは
理想のお墓とは無縁になっても誰にも迷惑を掛けることの無い、思わず手を合わせたくなるお墓のことです。
現代のお墓は粗大ごみ
私達の周りにある膨大な数のお墓は大切なご先祖様の遺骨を埋葬してお祀りするための大切なものです。
しかし外国産の丈夫な石で取り囲み、コンクリートの石室を設けた中に陶器で出来た骨壺を安置している現代のお墓では「埋葬」ということになっていますが、遺骨は永遠に土に還りません。
骨壺の中に入れられた遺骨は土に還ることの無いまま安置し続けられて、やがて50年も経てば誰もお参りする人が居なくなり、墓じまいをすることが無ければ100年経てば完全に無縁仏になってしまいます。
年間管理費を払う人が居なくなってしまった時点で縁故者に連絡が行き、お墓を管理するつもりが無ければ撤去の費用や遺骨の改葬の費用などを負担しなければいけません。
頑丈に作られたお墓は高額な処分費用がかかりますので、お墓参りしていた時には有難いと思ったお墓でも、不要になれば処分にお金のかかる粗大ごみになるのです。
何時かは必ず無縁仏
地方の古い家では3世代位の家族が共に暮らしていて、家の伝統や家風というものが大切にされ、家が絶えないように皆で協力するのが美徳とされていますが、都会で個別の家族を持って暮らす人にとって家の伝統や家系というものが不要になってしまいました。
旧家では家も大きいですが、仏壇の中にはたくさんの位牌があり、お墓も多くの石塔が並び、先祖からの長い歴史が感じられ、家が続くという事は素晴らしいことだという実感が湧くものです。
ところが都会のマンション暮らしの人がお墓を購入した所で、やがては自分達がそのお墓に入ってしまったら誰もお参りしてくれる人が居ないということに気が付くのです。
仮に子供達がお参りしてくれても、遠方からのお参りが苦痛になったり、その後が続かなかったりして、いずれ必ず無縁仏になるのです。
理想のお墓
地方に行けば今でも残っている江戸時代以前の土葬の時のお墓は理想です。
遺体は火葬せずに埋葬してやがて土に還りますし、墓石も自然石か地元で採れた石に名前を彫っただけの小さくて簡単なものです。
外国の自然を破壊して船で持った来たような石ではなくて、昔の墓石はある程度時間が経てば苔が生えてきて少しずつ朽ちていきますので、やがては自然に還ります。
地元で採れた石ですから、地産地消です。
墓石も遺体も自然の還るお墓こそ理想のお墓です。
石仏のお墓
可能であれば石仏の墓石にして、もちろん自分の名前を書くなんてことはせずに、ただ仏に護ってもらえば良いのです。
仏は誰かが気付けば手を合わせてくれますし、何処かにお祀りしてくれるかもしれません。
人が生きていたという記憶は誰もが忘れることによって完全に自然に還ることが出来るのです。
外国の頑丈な石に自分の名前を入れたところで、やがては無残な姿を晒し続けるだけなのです。
今の時代には土葬は出来ませんから、森で散骨をして、石仏をお祀りすれば良いのです。
やはり最後に頼るとしたら外国で採れたピカピカの石では無くて、温かい微笑みの仏の方が良いと思いませんか。