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埋葬とは
埋葬とは死者を土中に埋める事であり、葬送の儀式として行うということが本来の意味です。
土の作用
私達人類は不要になった物や利用出来なかった物などを土に埋めておくと、長い年月の間に土が分解してくれて元の自然に還っていくことを経験的に知っていました。
土は作物を作るのにも必要ですが、古いものを分解して次の作物の肥料にする力も備えているのです。
埋葬とは「埋めて葬る」ことであり、亡き人の遺体を土の中に埋めることです。土の中に埋めれば遺体は土中の微生物などに分解されて100年も経てば土に還りますし、まだ骨が残っていたにしても更に長い年月を経過すれば完全に土に戻ります。
埋葬された場所に石などを置いておき、亡き人の縁故者が居る間はそこにお参りし、やがて縁故者が居なくなった時点で土に還って自然の景色となれば完全にその人が生きていた記憶などの全てが消滅し、余計なものを何も残さない、これが埋葬のあるべき姿なのです。
埋葬とは本来土葬のことである
死者の肉体を処理すると方法としては太古の昔より次のような方法がありました。
- 放置するまたは捨てる
- 土中に埋める
- 火で焼く
これらの方法の中でも現代行われている方法としては「火葬」と「埋葬」なのですが、何故火葬と埋葬が主流になったのでしょうか。
放置する、捨てること
集落のような共同体で生活していますと、生活する場と物を捨てる場所が区分され、物や死体を捨てる場所は生活空間から少しはなれた場所になります。
更に宗教観が伴ってきますと死体についてはたとえ捨てるような扱いであっても死体専用の場所になるもので、不浄の場ではあるものの、黄泉の国の入り口としてある意味神聖な場所でもあった訳であり、死者に対する畏れと神聖な気持ちが交差する場所なのです。
土中に埋めること
死体はそのまま放置しますと腐敗して悪臭を放つと共に、ハエやウジが湧き、野犬やオオカミなどの動物に食い荒らされて散乱してしまいますので、それを避けるためには土を掘って死体を埋め、更には重たい石を載せておけば動物などに食い荒らされることなく、年月の経過と共に土に還っていきます。
この方法が古来より行われている土葬であり、ある意味とても衛生的な方法なのですが、遺体が土に還っていくのには50年以上のある程度長期間の年月が必要なことから、ある程度まとまった広い土地が必要になります。
火で焼くこと
縄文時代の遺跡からも火葬の遺骨が出土することから、古くから行われていた方法であり、文献上に残るものとしては、文武天皇4年(700)に火葬された僧道昭であり、火葬は仏教の思想にも深く影響していすます。
火で死体を焼く火葬に関しては屋外で焼却する場合には長時間に亘って大量の薪が必要なために、裕福な人でないと出来ない方法でありました。伝染病が流行した時などには火葬で死体を焼却しますと、伝染病の拡散の心配が無くなりますし、地下水を汚染することもありません。
但し屋外での火葬は匂いや煙が周辺に広がりますので、恒久的に行うには衛生的で近代的な設備が必要になります。
現代の埋葬
現代では埋葬とは火葬されて骨壺に納められた焼骨を、お墓のカロート(納骨室)や納骨堂に納骨することです。一般的には「納骨」と言われますが、実は「埋葬」なのです。
墓地埋葬法について
昭和23年に制定された墓地埋葬法によれば、埋葬と火葬については市町村長の許可が必要であり、無許可で行うと死体遺棄罪に問われます。
しかし埋葬とは土葬のことであるにも関わらず、現代社会では一部の離島や山間部を除いて選択不可能で、実質火葬のみの選択しか出来ません。
墓地とは本来、人間の亡骸を自然に還す場所であり、それが許可された公認の場所なのですから、土に還る埋葬をするべきです。
東北地方などではお墓の納骨室の底は土になっていて、納骨室の中に遺骨を撒く納骨や、布で出来た骨袋に遺骨を入れて納骨する習慣がありますが、これが正しい納骨方法であります。
もっと言えば遺骨の上に土をかけておけば完全に埋葬になります。
土に還らない埋葬
この火葬されて陶器の骨壺に納められた焼骨をコンクリートに囲まれた納骨室に納める埋葬を続けている限り、遺骨は未来永劫に亘って土に還ることは決してありません。
この方法を埋葬ということに定義している限り、遺骨はいつまでたっても土に還ることはありません。
現代の埋葬の問題点
骨壺に納められた焼骨をコンクリートで囲まれた納骨室の中に安置し続けている限り、遺骨は百年経っても千年経っても残り続けますので、埋葬とは言いつつも、自然に還ったり、土に還ることは決してありませんので、誰かがその骨壺を管理し続けなければいけないということになります。
そもそもこういった根本的な原因があり続ける限り、お墓というシステムは破綻して、墓じまいは増え続けるのです。
埋葬許可証とは
埋葬許可証とは「埋火葬許可証」とも言われ、埋葬、火葬などを許可する公的な書類です。亡き人に対して死亡診断書が発行されてから24時間以上経過して発行される公的な書類で、火葬と埋葬の許可証となりますが、一般的には火葬が済んだ時点で葬儀社から遺族に渡される、或いは故人の焼骨が入った骨壺の桐箱に入れることが通例です。
埋葬における注意事項
遺骨というものは一旦埋葬されますと、取り消しが出来ませんから「埋葬」に関しては要注意です。
埋葬の社会的な通例
火葬が終わった焼骨は一旦家に持ち帰り、祭壇を作って四十九日の間お祀りいたします。四十九日の法要が済みましたら、お墓がある場合には遺骨をお墓に持って行って納骨いたします。霊園の事務所には予め事前に納骨の旨伝えておき、納骨当日には埋葬許可証を提出してから納骨いたします。
これで故人様のお遺骨は正式に「埋葬」されたことになります。
納骨は急がなくて良い
既に入るべきお墓があれば納骨すれば良いのですが、無理してお墓を購入したり、納骨を急いだりすると後で後悔することになります。
遺骨は自宅に安置し続けても法的にはまったく問題ありませんのでご安心ください。急いでお墓を買って後になって墓じまいしたり、使わなかったり、引っ越しして不便になったりすると大変なお荷物になってしまいます。
お墓は後継者が間違いなくいて、自分亡き後も面倒を見てくれるという確信がある場合にのみ購入を検討すれば良いと思います。
参考になります…遺骨を自宅に置き続けて良いですか
一旦埋葬すると改葬しかない
一旦お墓に埋葬したお遺骨は、以後は改葬しか出来なくなります。墓地埋葬法では埋葬と改葬しか想定していないのです。
今の時代のように散骨などというものは想定していませんでした。散骨は埋葬行為ではありませんので、埋葬したお遺骨を散骨するという合理的な方法は無いのです。
NPO法人やすらか庵では、墓じまいして埋葬されたお遺骨でも改葬として受け入れして散骨までお導きすることが可能でございます。お気軽にご相談くださいませ。
墓じまいして散骨するには…墓じまいと散骨
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