お墓の蓋
一般的なお墓の石の下にはカロートと言われる納骨室があって、亡き人の遺骨を入れた骨壺を納めるようになっていて蓋がありますが、土葬の墓には蓋がありません。
土葬の仕組み
土葬では人が亡くなると同時に深さ2メートルほどの棺桶を入れるための穴を掘り、葬儀が済んだら遺体の入った棺桶ごと土中に埋めて上から土を被せます。
最初に掘った穴に対して排出された土は棺桶と共に埋め戻されるのですが、棺桶を入れた分だけ土が余ることになり、その余った土を盛り上げて土饅頭のようにしておけば、そこが土葬された場所だという事が分かります。
やがて時間の経過と共に遺体と棺桶が腐敗していき、土がだんだんと下がってきますので、その場所に墓石を載せるのが土葬の時のお墓の作り方です。
土葬の場所は一人専用
土葬の場合には一つお墓があれば一人の故人が埋葬されていて、一つの場所に複数の遺体が埋葬されるようなことはありません。
遺体が朽ち果てて土に還った時に初めて次の亡き人を埋葬出来るようになるのですから、ある意味土葬は広い土地を必要とします。
そして現代のお墓のように納骨室の中に何体もの遺骨を入れるようなことがありませんので、カロートと言われる納骨室も無ければ、納骨室を開け閉めする蓋も無いのです。
したがって土葬のお墓に蓋が無いのは開け閉めする必要が無いからなのです。
カロートの役割
カロートの役割は遺骨を納めた骨壺を大切に保管することであり、コンクリートで囲まれた専用の部屋になっていて、しっかりと重たい蓋がされていますので、いたずらされるようなこともなく、安全な場所として耐久性に優れた作りになっています。
このカロートは明治時代の土葬の頃には当然無かったのですが、昭和になって火葬が主流になると共に増えてきました。
明治時代くらいまでのお墓は写真のように文字が彫ってある竿石とその下の台石だけのシンプルな構造になっていて、骨壺を納めるための部屋がありません。
墓じまいをする時に骨壺がお墓の何処に入れてあるのか探そうとしてもありません、遺体は墓石の下の土の中に埋葬されているのです。
更に詳しい説明は…お墓の蓋の開け方
土葬のお墓を後継者不要の樹木葬や合葬墓などに改葬する時や散骨するなどの時には土葬のお墓を掘って遺骨を収集する必要があります。