山中のお墓

誰も参らない墓

山中の共同墓地では必ず誰も参らなくなってしまった墓があって藪の中に埋もれており、自然と共に朽ちていくようです。

共同墓地が抱える問題

先祖に聞く-墓じまい

共同墓地には大抵の場合組合があって、年に数回は草刈りや掃除をするので、その時にこのような無縁のお墓周辺も草刈りをするのでしょうから草木に埋もれてしまうことはありませんが、それでもどこの集落でも高齢化が進み、お墓の掃除もいつかは出来なくなるかもしれません。

このような土地の古いお墓で土葬の場合には遺骨は自然に還りますし、墓石も長い時間がかかりますがいつかは自然に還ることでしょう。

自然に還る工夫

昔のお墓の石は外国から輸入せずに国産の近場の石を使い、表面も今頃の墓石のように顔が写るほどのピカピカでは無くてザラザラした感じで、雨が降れば水を吸うような石でしたが、ある程度の年月が経てば苔むして実に味わいのある表面になり、周りの自然と同化する、これぞ実に味のある美しい姿だと思います。

建設や土木で使う材料は地産地消に限るのです。

土葬でこのような石の墓の場合には特に墓じまいしなくても自然に還ります。

またこのような土地では管理費が無いので、管理費不払いの理由で強制撤去されることはありません。

ある意味生まれ育った土地の土になり、墓石までも自然に還ることは地球上の生き物としての本来の姿ではないでしょうか。

長い目で考えること

私達は豊かさを背景にして外国から貴重な資源を搾取して不要な物ばかり作り出し、永遠に余計な物を残し続ける、これで良いのでしょうか。

今の時代、空調の効いた室内でカードを挿せば遺骨が自動で運ばれて出てくることに違和感を感じませんか?

お爺ちゃんお婆ちゃんが孫の手を引いてお墓参りをするような素朴な姿が私達の他を思う心を作っているとしたら、ある意味お墓は教育の場であって、癒される場でもあるのですから、物を伝えていくのではなく、心を伝えていくことが大切です。

山中のお墓で誰も参ることの無いお墓になってしまうのであれば、墓じまいして綺麗にお片付けしておくことも必要です。