目次
カロート、納骨室とは
カロートとはお墓の地下部分にある焼骨の入った骨壺を入れるためのコンクリートや石で囲まれた空間のことで、納骨室とも言います。
本来のカロートの役割
お墓は亡き人の焼骨を納めて亡き人の拠り所として礼拝、供養するための施設であり、死者がこの世で生きた証である焼骨の入った骨壺を納める部分をカロートと言います。
明治時代までは死者は土中に埋葬され、土中で長い年月をかけて分解されることにより土に還っていた土葬が主流でした。
当時は死者が出ると墓地に穴を掘って死者の入った棺桶を穴に入れて上に土を被せていましたので、土中の棺桶を入れた空間が今のお墓で言うところのカロートに相当します。
そういう意味で言えばカロートは土に還るための場所なのです。
今の時代のカロート
日本全国に火葬が普及して死者の焼骨を骨壺に入れて持ち帰るようになった現代では、葬儀ビジネスとしての付加価値を付けるために、葬儀で使用される棺桶や骨壺、骨箱の装飾化が進み、高級化していく傾向にあります。
備前焼の高級骨壺や大理石製の骨壺、金襴の骨箱などは結構な値段がするにも関わらずよく売れている理由は、亡き人に対しての精一杯の心遣いということで、故人に対して最後の贅沢という意味合いがあることでしょう。
近年になって屋内型の納骨堂が普及してきましたが、最新式の納骨堂では礼拝堂に入ってカードをかざせば、ベルトコンベアーで故人の骨壺が運ばれてきて対面できるのですから、こういった場所では高級な骨壺が良く似合うのです。
こういった流れを受けて現代のお墓のカロートは亡き人の骨壺を納める納骨室になって、納骨室の中には綺麗な骨壺が並んでいるのです。
カロートの底
カロートの側面はコンクリートか石材で出来ていて、上には墓石と拝石が載っていますが、底に関しては土の場合と、石やコンクリートの場合の二種類があります。
土の場合
カロートの底が土の場合には骨壺をそのまま土の上に置くこともありますが、焼骨を骨壺から出して土の上に撒くために意図的に土にしてあることが多いです。
東北地方では骨壺から焼骨を出して土の上に撒き、その上にまた次の人の焼骨を撒く方法で納骨しますから、多くの人の遺骨が混ざることになりますが、全く気にしませんし、この方法の事を散骨と言うようです。
これは本来の土葬に近い方法で、骨壺が無いのでカロートの中にはたくさんの人の焼骨が収納出来るというメリットがあります。
石やコンクリートの場合
現代の一般的なお墓のほとんどがカロートの底まで石やコンクリートで出来ています。
但し湿気が多い場所なので、水抜きだけはしっかりとしてあり、排水のための穴が開いていたり、少しだけ土の部分が設けられていたりします。
骨壺の大きさとカロートの大きさにもよりますが、このような構造ではいつかはカロートの中が骨壺で一杯になります。
カロートの構造
カロートは遺骨の入った骨壺を納めやすいようになっています。
階段で降りる形式
大きなお墓の場合にはまるでピラミッドのように階段で下に降りていくような大きなカロートを備えていることがあります。
大抵は棚板がしてあって、棚板の上に骨壺を載せるようになっています。
上下二段式
今時のお墓のほとんどが棚板がしてある上下二段式の構造になっています。
狭い空間を効率的に使用することが出来るからです。
棚板無し
都会の中にある霊園ではお墓の面積が50cm四方などの狭い空間しかありませんので、カロートの中には二体までしか入りませんという夫婦限定のお墓の場合には棚板などが無しの骨壺を入れる空間だけのカロートになっています。
墓じまいとカロート
墓じまいの時にはカロートも含めた付属設備の一切を撤去して更地にすることが原則で、カロートは地下部分の構造物になり、カロートの下の転圧した敷石まで取り除くことになりますが、担当する石材店の仕事になりますから、見積の時に当然入っているはずです。
カロートはその上の重量のある石材を支える大切な基礎にもなりますので、その重量によって墓石が傾くことを防ぐために、コンクリートに鉄筋を入れたり地盤の部分に石を詰めて転圧した上に構築されることが多いようです。