散骨に関する法律の検証

いくら理想的なことであっても人に迷惑がかかったり法律的に問題があるようではいけません。

結論から先に言えば散骨は法律的には全く問題ありません。

ここでは法律的なことを述べていきます。

ライン花

墓地・埋葬に関する法律

「墓地・埋葬等に関する法律」は明治時代に制定された「墓地及埋葬取締則」を改正して昭和23年に交付されたものです。

当時とは時代背景や住宅事情、お墓に対する意識が大きく変化している現代においては、見直さなければならない点が出てきています。

散骨については刑法190条の「死体、遺体、遺髪又は館内に蔵置し足る物を損壊、遺棄又は領得したる者は3年以下の懲役に処す」の項目に触れるのではないかということで懸念されてきたのですが、散骨に対してさまざまな団体が取り組み、社会的な要請が高まる中で法務省は散骨に対し、「節度をもって葬送の一つとして行われる限りは問題はない」、との見解を表明しました。

これは自然葬としての散骨が「死体遺棄」ではなく、「葬送の一つとして」認められたということなのです。

葬送の目的とは故人の死を尊重し、お別れをすること或いは死後の世界に送り届ける目的を持つことで、捨てることでも放置することでもありません。

そして「節度をもって」とは、一般常識の中で他人に迷惑をかけないことであり、個々の判断に委ねられていますが、次の点に注意する必要があると思います。

散骨に関する注意事項

  1. そのままの形で散布しないこと
  2. お骨とは分からない程度に粉骨、粉末化(一般的には2mm程度以下)すること
  3. 他人の所有する土地には散布しないこと、あるいは了解をとること
  4. 環境問題に配慮すること
  5. 葬送の目的を明確にすること

お遺骨を墓地や霊園に納めたり、土の中に埋める埋葬行為は従来の制約を受けますので、たとえ粉骨したお遺骨であっても特定の場所にしか埋葬出来ません。

今流行の樹木葬でお遺骨を土の中に納めるものは霊園となります、お遺骨を埋葬するのに墓を建てるか樹を植えるかの違いとなります。

散骨は粉末にしたお遺骨を散布するもので、埋葬行為ではありません、節度をもって実施すれば、自分の家の庭でも構いませんし、別荘でも故人の好きな場所でもかまいません。

例えば故人が庭いじりが好きで特に愛着のある木があったとしたら、その木の根元に撒けば、毎年花が咲くたびに故人を思い出すことでしょう。

木の根元に散骨

散骨に関する注意の補足

先ほどの5点の補足解説です

そのままの形で散布しないこと

お遺骨は骨壷の中に入っている状態では、骨の形がはっきりと分かります。

そのまま撒いてしまうと死体遺棄になってしまいます、誰かが発見したときに、間違いなく事件として扱われます。

お骨とは分からない程度に粉末化(一般的には2mm程度以下)すること

散骨する場合にはお遺骨を形が分からないように、そして自然に還りやすいようにパウダー状にして散骨します。

どれくらいの細かさにするかは今のところ日本独自の散骨に関する法律や法令はありませんので、欧米などの先例に従って2mm以下程度が妥当です。

自然に還るという意味では1mm以下のパウダー状にするのが理想的です。

他人の所有する土地には散布しないこと、あるいは了解をとること

散骨するにあたってどこでも散骨して良いかという問題で、他人の所有する土地には散布してはいけません、但し了解を取ることが出来れば問題ありません。

親しい間柄の方でしたら了解を取ることが出来るかもしれませんが、見ず知らずの他人には承諾しないと想います。

海の散骨でしたら場所の制約は受けにくいですが、それでも漁場や船の航路、海水浴場などは避けて行います。

環境問題に配慮すること

地球に生きる者として、地球を汚さないこと、そして子孫の者にまで綺麗な環境を残していくという、環境に対する配慮は是非とも必要です。

具体的には飲み水に使われる川の上流などに散骨しない、自然に還らないような場所には散骨しない、散骨時に大量のお供え物を撒いたりしないことなどです。

お酒やビールなどを一緒に手向けるような時にはビンや缶は持ち帰りましょう、お花は花束ではなく花の部分だけにしましょう。

葬送の目的を明確にすること

故人様をお見送りするという目的を明確にすることです。

散骨はお遺骨を捨ててくることではありませんし、不要な物を処分することでもありません。

ありがとうの感謝の気持ちを込めてお送りすることが必要です。

東京都の散骨に関する条例

東京都の「散骨に関する条例」はとても参考になります。東京都は人口が多くて墓地不足や後継者不足の方がとても多いので、散骨に関する問い合わせが多く、個別には対応しきれないために、東京都としての公式見解を出すことにより、統一見解を述べています。

この公式見解は都政の立場ではありますが、ある意味国の中心としての見解であり、国としての見解と捉えることが出来ます。

「散骨に関する条例」の具体的な内容としては

散骨をしたいと考えていますが、散骨をしても法律に触れませんか。

海や山に焼骨(遺灰)を撒く、いわゆる「散骨」について、国は、「墓地、埋葬等に関する法律においてこれを禁止する規定はない。この問題については、国民の意識、宗教的感情の動向等を注意深く見守っていく必要がある。」との見解を示しています。

散骨には許可や届出などの制度はありますか。

散骨は「墓地、埋葬等に関する法律」に規定されていない行為であるため、法による手続きはありませんが、念のため、地元の自治体に確認することをお勧めします。

散骨を行うときに留意することは何かありますか。

海や川での散骨では、水産物などへの風評被害が生じるおそれがあります。また、山での散骨では、土地所有者や近隣の人とのトラブルが生じた例、撒かれた骨を目にした人からの苦情や農産物への風評被害のおそれがあります。
こうしたトラブルが生じないよう、人々の宗教的感情に十分に配慮することが必要です。

自宅の庭に散骨してもよいですか。

散骨は、死者の遺骨を自然に還すという考え方、いわゆる「自然葬」として海や山などで行われるようになったものです。
人骨に対する感情は人により様々であり、焼骨を撒けば、風で飛ばされたり、住まいのそばに骨が撒かれたということで気分を害する人も出てきます。
なお、個人が庭などに墓地をつくることは法令上認められていません。

法律で問題無いと分かったら悪徳業者が出て来た

散骨に関しては未だに国としての公式な見解はありませんし、今後どうなるのかもわかりません。

私が散骨を始めた18年前には「法律違反だ」などと言われたものですし、長い間散骨に関しては法律的には合法でもなく、違法でもない、いわゆる「グレー」な立場であり、全国各地で散骨を商売にして近隣住民無視の散骨場が建設され、それを阻止するために「散骨禁止条例」を発動する自治体も増えて参りました。

東京都でこのような発表があってからは、これまで散骨に関して様子見をしていた会社や企業などが、散骨は国家公認とばかりにこぞって参入するようになりました。

我が国の製造業やサービス業などが人口減、高齢化などに伴う国力の低下により打撃を受け、国際的な競争力を無くしていく中で、高齢者相手のサービス業ばかりが増えているという現実から、届け出不要の散骨業に参入する人達が後を絶ちません。

散骨業が賑やかになることはとても良いことなのですが、全くの素人や片手間散骨業、初めから人を騙すのが目的の業者が増えているので注意が必要です。

法律で問題無いからと遺骨を捨てる業者もいる

散骨とはお遺骨を粉状にして自然の中に散布することですから、粉にして撒けば散骨であるということも言えます。もっと言えば遺骨を粉にして捨てても散骨なのです。

激安価格を謳いながらホームページでは綺麗な写真を並べて安心、丁寧などの文字を並べたところで、やっていることは遺骨を捨てることです。法律的に違法ではありませんが、私はこれは犯罪だと思っています。

最も大切な事は

散骨に於いて法を守りマナーを守ることはとても大切なことですが、最も大切なことは、散骨は「亡き人をお送りする儀式」であることです。

誰が決めたことでもありませんが、そうあるべきだと強く思うのです。亡き人のために行っていることですから、亡き人をお送りするという最も大切な目的を忘れなかったら、散骨の形は自然と出来上がるものだと思います。

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