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永代使用料とは
永代使用料とは、お墓を契約した時に支払う、その区画を永代に亘って使用できますよ、という保証料のことで、数十万円~数百万円というまとまった金額ですが、基本的に一度支払ったら返還されません。
過去の裁判の事例を参考に、お墓を買った年数が短い、墓石を建立していない場合などの永代使用料の返還の可否について。
お墓を購入する時に必要なものは
お墓を新規に購入する時に必要なお金は、「永代使用料」と「年間管理費」で、墓石を購入するための資金も必要です。
永代使用料について
お墓の土地は借地で自分の土地ではありませんし、永遠に自分の土地にはなりません。
墓地埋葬法では、遺骨を埋葬する墓地を作るには様々な制約があって、国の認可が無いと出来ませんので、認可された法人の所有地の一部を借りて遺骨を埋葬しているがお墓なのです。
墓地は法人の所有地であって法人が管理しなければいけませんので、お墓の購入者はその土地を借りているのです。
「法人の土地を永代に亘って借りることができますよ」という権利が「永代使用権」なのです。
永代使用権を得るために支払うのが「永代使用料」です。
「永代使用料」は原則一度払ったらいかなる理由があっても戻って来ることはありません。
年間管理費とは
年間管理費とは霊園の施設の維持管理に必要な金額のことで、原則一年に一回支払います。
霊園の施設では職員を常駐させる経費の他に、電気、水道、ごみ処理、草刈りや清掃などの施設の維持管理に必要な経費として年間管理費を徴収しています。
年間管理費を払わなければ墓地の使用者もしくは縁故者にその請求が行き、更に支払いが無ければ墓地撤去の通告がなされます。
使わなかったので返して欲しい
家を引っ越しすることが決まって、せっかく買ったお墓だが返還したいと言うことが実際にあるものです。
或いはお墓を買ったけれど息子が事故で亡くなって散骨したからお墓はもういらないなどの事例もそうです。
買ってからまだ墓石をなどの工事を一切していないし、何も使っていないからもう永代に亘ってお墓を使うようなことは無いから、永代使用料を返して欲しい、全額ではなくてもある程度返して欲しいと思うのが人情です。
契約書を確認しよう
お墓の契約書には必ず大切な事が書いてありますのでよく確認してみて下さい。
年間管理費については使われなかった期間においてはある程度返還されることがありますが、永代使用料については多分「いかなる理由があっても返還されない」旨の記載がされているはずです。
そういった記載があって、自分の判が押してあるのなら返還されません。
例えば1年しか使わなかったとか、墓石を建立していないなど、お墓としてあまり使わなかった場合でも、永代使用料を返してくれる所は、まずありません。
契約書にもおそらくそういった記載があるはずですが、契約書にその旨の記載が無ければ可能性はあります。
契約書に永代使用料の返還の記載が無い場合
契約書というものは売主がくれぐれも損をしないように作ってあるものですから、永代使用料の返還についての記載が無いことは有り得ませんが、それでも記載が無ければチャンスですので、あとは頑張って交渉してみましょう。
たとえ普通は返還されませんと言われようとも、記載が無いことは霊園側の落ち度です。
裁判をしてでも取り返したい
使っていないのだから返して欲しい、少しでも構わないから返してくれてもいいじゃないか、などの気持ちは誰にでもあるもので、裁判をしてでも取り返したい時について。
京都地方裁判所での裁判について
平成19年6月29日に京都地方裁判所で行われた裁判の結果です。
事件番号:平成19年(レ)第36号
事件名:墓所使用料前納金返還請求控訴事件
結果:控訴人敗訴部分取消し,請求棄却
判示事項の要旨 :墓地使用者が墓地使用契約を中途解約したとして不当利得返還請求権に基づき一括支払済みの墓地使用料の返還を求めたが棄却された事例。
裁判の大まかな内容について
被控訴人の父親が宗教法人の墓地を購入して、墓石等を設置することなく所有していたが平成17年12月16日に死亡したことをきっかけに、別の場所に墓地を移転することを決め、墓地が使用されていないことを理由に墓地使用の解約を申し入れ、永代使用料の返還を求めて起こした裁判ですが、棄却されました。
最初からお墓を買うべきではない
そうは言っても人情的には、少しでもいいから、返して欲しいですよね。
しかし、私から言うのも変ですが、お墓を買っても使う可能性が無いようなことが最初から分かっているのなら、最初からお墓なんて買わないことです。
次のような方はお墓を買ってはいけません
- 引っ越しする可能性がある
- お金に余裕のある内にとりあえず買っておこうと思う
- 子供が女ばかりである
- 息子が居るが遠くに住んでいる
- 息子が近くに住んでいるが転勤の可能性がある
- 息子が居るが独身である
霊園なんて、無情なもので、買う時にはサービス満点ですが、いざ解約となると、とても冷たいものなのです。
そもそも年間管理費を永遠に払い続けるなんて不可能だということに早く気付きましょう。
永代使用料は返ってこないし、墓じまいにもまとまった金額がいるし、とにかくお墓というものには、お金がかかるものなのです。
墓じまいの仕事をしていますと、まだ新しいお墓なのに壊すなんてもったいないと思うことがよくあります。
そんなことに無駄なお金を使うのであれば、もっと有意義なことに使った方が良いと思います。
まだまだあります墓じまいに関する質疑応答