墓地埋葬法とは

お墓

「墓地、埋葬等に関する法律」とは墓地、納骨堂、火葬場、埋葬等が支障なく行われることを目的として昭和23年に制定された法律。

埋葬、火葬に関する法律

埋葬とは遺体をそのまま或いは棺桶に入れて土中に埋めることで、火葬とは火葬場で遺体を焼却して焼骨にすること。

24時間以内の埋葬等の禁止

死体もしくは妊娠7か月以上の胎児は死後24時間は埋葬もしくは火葬しては行けない(3条)

医師による死の判定が基準になりますが、極まれに蘇生することがあることから、間違いの無いようにとの配慮からです。

墓地外の埋葬等の禁止

埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない。火葬は、火葬場以外の施設で行ってはならない(4条)

自分の所有する土地や自宅の庭などに穴を掘って遺骨を埋葬するようなことを禁止しています。

また自宅の庭で薪を使って遺体を火葬するようなことも禁止されています。

埋葬等の応諾義務

墓地・納骨堂・火葬場の管理者は、埋葬、焼骨の埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない(13条)

埋葬や火葬は公共の利益のための事業扱いになりますので、個人的な理由などで断るようなことが出来ません。

埋葬、火葬等の手続

埋葬や火葬には許可を示す根拠となる書類として残る埋火葬許可証などの手続きが必要です。

埋葬、火葬等の許可

埋葬・火葬又は改葬を行おうとする者は、市町村長(特別区にあっては区長)の許可を受けなければならない(5条)

死者を行政に届け出することなく勝手に埋葬や火葬することは出来ません。

市町村長等の埋葬の義務

死体の埋火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長(特別区にあっては区長)が行う(9条)

行旅死亡人として海岸に流れ着いた遺体や、孤独死で全く身寄りのない死者であっても、国民の権利として火葬や埋葬される権利を持っていますので、市町村長の権限で火葬、埋葬を執り行います。

墓地、火葬場等の許可等

墓地や火葬場は許可された場所で許可された者しか運営することが出来ません。

墓地・納骨堂・火葬場の経営等の許可

墓地・納骨堂・火葬場の経営をしようとする者は、都道府県知事(市又は特別区にあっては市長又は区長)の許可を受けなければならない(10条)

墓地や納骨堂の経営には宗教法人などの後ろ盾が必要ですが、収益率が高いことに目を付けて活動していない宗教法人の名義を買い取って霊園開発をするような業者が後を絶ちません。

法律の抜け穴はいくらでもあるものです。

墓地等の管理者からの報告徴収・改善命令等

都道府県知事(市又は特別区にあっては市長又は区長)は、墓地等の管理者から報告徴収を行うことができる。また、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるときは、墓地等の改善、使用の全部又は一部の制限、禁止を命じ、または墓地・納骨堂・火葬場の許可を取り消すことができる(18条、19条)

墓地埋葬法の問題点

埋葬のイラスト

墓地埋葬法は基本的な考えが土葬の時の考え方であり、そして人口が増え、経済が発展していく過程にあって後継者が居るという前提での法律です。

実際は埋葬ではない

墓地埋葬法では「埋蔵」という表現が使われていますが、現在あるほとんどのお墓はカロートの中に焼骨を入れた骨壺を安置しておくための施設であり、土に還ることがありませんので、永遠に安置し続けることになりますが、近年では後継者が居なくなったお墓が続出して大きな社会問題になっています。

散骨などが考慮されていない

墓地埋葬法は現在では焼骨埋葬するための法律であり、後継者の居る人が墓地または納骨堂に納骨することが前提なので、後継者が居ない人が利用する散骨についての考慮が為されていないのです。

散骨は焼骨を粉骨して自然の中に散布する葬送の方法で、近年では合法的な方法と認められて多くの人が利用するようになりましたが、墓じまいして散骨するような場合には埋葬された遺骨の扱いをどのようにするかの取り決めが為されていません。

近年では後継者の居ない方でも契約できる埋葬としての樹木葬合葬墓が普及しているのは、墓地としての埋葬の考え方が変わっている証なのです。