墓じまいで地上部を全て撤去した後に残るのは基礎のコンクリートで、そのコンクリートも除去した後には、その下に必ず河原石がぎっしりと埋め込んであります。これを取り除かないと検査は不合格になります。
検査の方法はいたって簡単で、更地になった部分の敷地の中を細い鉄の棒である程度の深さまで差しまくるのですが、河原石が残っていますとカチンと音がして止まりますので不合格になるのです。不合格になりましたら、もう一度やり直しです。
こういった河原石は、お墓の基礎を作る時に周りの溝を掘って、ある程度の厚さまでびっしりと敷き詰めて転圧していますし、お墓が出来た後にも石の重みで圧力がかけられていますので、取り除く時には石が中々取れません、物凄い地道で根気のいる作業となります。
ただひたすらに土の中から石を取り出すだけなのですが、場合によってはこの作業だけで2日かかることもあります。
無心になって取り除くその姿はまるで「賽の河原の石積み」のようです。何一つ罪が無いはずの水子さんですが、ただ一つ親を悲しませたという罪のために賽の河原が渡れない水子さんが河原の石で五輪の塔を作るというもので、「1つ積んでは父のため、1つ積んでは母のため…」
お金があればミニユンボで土ごと取り除き、新しい土を入れれば済む問題なのですが、敢えてそんな使い捨て主義に頼ることはいたしません。
これも亡き人の供養の行であり、私の罪滅ぼしの行でもあると思い、「いつかは必ず終わる」と信じてやり続けるのです。