新規霊園が少なくなった

霊園じまいのイラスト

高度経済成長の時代には次々とオープンしていた屋外型の霊園も、最近は新規霊園の開園が少なくなり、既存の霊園では墓じまいが増えて空いた区画が目立つようになりました。

高度成長期の霊園

お墓参り

我が国の高度成長期の時代には若い人達が都会に押し寄せて移り住み、大規模団地が次々と建設されて学校、病院、商店街などの施設が出来ると同時に大規模霊園もまた次々と造られて多くの人が定住する環境が整備されてきました。

郊外型の大規模霊園は広い駐車場を持ち、緑豊かな環境を謳い文句に、車いすでもお参り出来るような細部まで整備された園内では次々と新しい洋風の立派なお墓が作られていき、購入希望の見学者がひっきりなしに訪れる盛況ぶりだったのです。

地方から上京した人達にとってお墓というものは緑豊かな屋外にあるものであり、掃除や木の剪定などの作業は自分でするものという感覚を持ち合わせていたので、墓地の敷地内に木や花を植える人が多く、手入れをするために割と頻繁に通い、休日には車でお墓参りに出かけて家族揃ってお墓の手入れという光景が見られたのです。

現代の霊園

無縁墓

我が国では人口減少少子高齢化核家族化の波は次々と押し寄せてきて、後継者の居ない人達が続出し、家じまい、墓じまいが増えていますが、霊園にとって新しいお墓が売れなくなり、墓じまいばかり増えてきますと経営が苦しくなってしまいます。

人口が増えて経済が成長し、家もお墓も飛ぶように売れた時代は既に終わってしまっているのです。

高齢化社会が現実となっている現代では生まれてくる人よりも亡くなる人の方が多いのですが、後継者の居ない人ばかりなのでお墓を買うことが出来ませんし、今あるお墓も墓じまいということになってしまいます。

亡くなる人が多いのに霊園が売れないという皮肉な結果となっているのです。

霊園の経営破綻

僧侶の説明のイラスト

霊園の経営はお墓を契約する時に支払う永代使用料と毎年定額を支払う年間管理費によって賄われています。

永代使用料は何十万円或いは何百万円単位のまとまった収入になり、霊園の建設費用を回収し、大きな利益を生み出す費用で、年間管理費は霊園の電気、水道、管理事務所の維持管理費、或いは霊園内の清掃、修繕費などに充てられます。

販売する区画が無くなった、或いは全く新規が売れなくなったような場合でも全ての区画の年間管理費が納められていれば問題ありませんが、年間管理費が払われなくなった、使用者が音信不通になったなどの区画の件数が増えてきますと、経営が苦しくなってきます。

使用者と連絡がつかない、縁故者も分からない、縁故者に連絡しても知らない、分からないの返事ばかりで、誰も関わろうとはしないお墓は無縁になってしまいますが、墓じまいや無縁墓に入れるようなことばかりしていてはますます経営が苦しくなるのです。

公営の霊園ではいくら運営が赤字になっても住民福祉の観点から閉鎖するようなことはありませんが、民間の霊園では赤字が続くようになってしまいますと、閉鎖することが実際に起こっているのです。

これからの時代は家じまい、墓じまい、そして霊園じまいの時代がやってくるのです。