墓じまいの費用、価格、料金
墓じまいはお墓の地上部と地下部を撤去して更地に戻すか、買った時の状態に戻すことで、その費用はお墓の広さや石材の使用量、駐車場からお墓までの距離、機材の搬入が可能かどうかなどの様々な条件で違い、一般的な3㎡程度の広さの墓地でしたら20~50万円程度が相場になります。
墓じまいの見積りの仕組み
石材店が墓じまいの見積りを出す時にはまず現地を見に行って
- クレーン車が横付け出来るか
- 機械類を入れることが出来るか
- 石材とコンクリートの量と撤去方法
- 植栽の有無と撤去の段取り
- 土を運び出すか不足分の土を入れるか
- 地下部分の構造
などを見た上で見積を出します。
掛かる費用の内容は
- 車両や機械の使用料と燃料費
- 交通費
- 掛かる日数と必要な人数分の人件費
- 石材とコンクリートの処分費用
- 土の処分費用もしくは新しい山砂を入れる費用
- 植栽の処分費用
- 事務手数料
などの合計になります。
墓石を買った時にはサービス満点で、細かい対応に満足していた石屋さんであっても、墓じまいするから見積りを出してくれと頼むと、石屋さんにとってはもうこれで最後の仕事になるから、取るだけ取ってやれという、いわゆる明細無しの「どんぶり勘定」ということがよくあります。
基本的にクレーン車が横付け出来るお墓の見積りは安く、機械が入らない、階段があるなど作業の条件が厳しくなるにつれ、見積りの金額は高くなっていきます。
寺院の墓じまいの見積り
墓じまいをするということは、特にお寺にとっては檀家を離れる離檀という問題に直面し、お布施や寄付が減ってしまうことにつながりますので、なるべく檀家が減るということは避けたいもので、やむを得ない場合の措置として、永代供養をすすめる訳ですが、これが、高額な場合には高級車が一台買えるほどの値段なのです。
また別途離檀料も必要なことがあり、お墓の撤去の費用も合わせると莫大な額となり、金銭的なことでお寺の墓じまいが一番トラブルが多いのです。
また、お寺の場合には指定石材店と言って出入りの石材店が決められていて他の業者が入ることを許されず、高い見積もりでも泣く泣く頼んでしまうということもあります。
寺院墓地は大規模霊園と比べて敷地面積が狭く、計画的に墓地を配置していることが少なく、通路が狭い、曲がりくねっている、車両が入れないなどで手作業の工事となれば墓じまいの費用は高くなってしまいます。
公営霊園の墓じまいの見積り
ほとんどの公営霊園は計画的に造成されて道が整備されているために機械が入りやすく墓じまいの見積りは標準的な金額になります。
公営の霊園の場合には、意外と書類上の手続きだけで簡単に進み、石材店の指定も無い場合が多いので、見積もりを比較することが可能です。
公営霊園の墓じまいではいくつかの業者に見積もりを頼んでみれば相場がわかりますが、例えば霊園の門前で店を構えている石材店にいくつか見積りを頼んでも業者間で取り決めをしていて、皆同じということもあります。
一般的な見積り費用は
墓じまいの費用は一般的に1㎡あたり10万円程度と言われていますが、これには作業の基本料金が含まれていますので、面積が大きくなれば面積あたりのプラス料金としてはだんだんと下がるのが普通です。
例えば1㎡で10万円なら、3㎡で30万円ではなく25万円、5㎡で35万円という感じです。
また芝生墓地のように小さなお墓で、カロートの工事をする必要がなくて、石を取り除くだけの工事でしたらもっと安くなるはずです。
しかし、これも基本的な作業で済む場合のことで、実際には階段があったり、通路が狭かったり、駐車場からお墓までの距離が遠かったりすると加算されていきます。
標準的な作業とは
お墓にクレーン車が横付け出来て、解体しながらクレーンで石を積み込むことが出来る場合です。よく整備された霊園では、お墓の横まで車を入れることが出来るようになっていますので、石屋さんにとって、人夫も少なく、小さな墓でしたら半日程度で仕事が終わります。
塀越しの作業も可で、他のお墓をまたぐことなく、クレーンのアームが伸びる範囲内であれば、小さなお墓であれば墓じまいは半日程度で終了します。
しかし、車を停めても邪魔にならない通りに面していて、クレーン車横付けという恵まれた条件のお墓は実際は少ないものですし、墓じまいする時に便利なようにとの理由でそのような条件のお墓を買う人は居ないと思います。
料金が加算される場合のあれこれ
クレーン車が横付けすることが出来ないために、カニクレーンや運搬車などの機材を使う場合にはやや高くなり、通路が狭くて機材が入らず、多くの人夫が必要な場合にはかなり高くなってしまいます。また、盛り土の量が多くてユンボやダンプが必要な場合や、植栽の量が多い場合、大きな木が生えている場合、土葬のお墓で深く掘り返して遺骨を収集する必要があるなどです。
料金が加算される場合の例を解説いたします。
カニクレーンを使う場合
カニが足を広げたようなクレーンでカートクレーン、ミニクローラークレーンと言い、足を折りたためば狭い所でも入っていき、重量物を楽々と吊り上げます。
クレーン車が入らない所で、幅1メートルぐらいの通路があれば入っていけます。少しぐらいの段差なら乗り越えますが、階段や急な坂は通行出来ません
運搬車を使う場合
運搬車は幅が80cm程度で、狭い通路も通りますので、写真のように石を満載して運ぶことが出来ます。
少しぐらいの段差なら乗り越えますが、階段や急な坂は通行出来ません。
基礎に鉄筋がある場合
地下部分の納骨室や基礎部分に太い鉄筋が入っていることがあり、鉄筋を切りながらコンクリートを割っていくために、意外と困難な作業になったりします。
養生が必要な場合
養生とは、通路や他のお墓に傷を付けないように板などで保護することです。
引越し業者がエレベーターや通路に傷防止のカバーを付けますよね。
墓じまいでは、どの作業でも他のお墓に傷を付けないように養生をしますが、狭い通路が長かったりすると、場合によっては通路全体に養生が必要なこともあります。
コンパネという板を立てかけたり敷いたりして保護し、石材を地面に置く時には木の棒を下に敷きます。毛布などで保護することもあります。
機械が全く入らない場合
通路が狭かったり、階段があったりして機械が全く入らない場合には人手による解体と運搬となります。お墓の面積が広くなれば人手もたくさん必要になり、時間がかかる作業となります。
全て人手による作業の場合が最も料金が高くなってしまいます。
山道を登る場合
地方の集落のお墓では、整備されていない山道を登っていくお墓がよくあります。
運搬車が登ればまだ何とかなりますが、それも無理なら全部人手の作業となります。
大木や植栽が多い場合
お墓に大木の枝がかかっていたり、お墓の中に大きな木が生えていたり、植栽が多い場合などは、その運搬、処分だけでトラック数台分になったりします。
盛り土の量が多い場合、土を足す場合
広い面積のお墓によくあることですが、土の搬出がダンプ数台分になることがあります。
掘るのにミニユンボを入れることも含めて別料金になってしまいます。
また地上の石材やコンクリートを取り除いたら土が不足して新しい土を入れるような場合にも別料金になります。
実際の費用は
お墓の状況は、一つ一つ皆違うもので、同じものはありません。
1㎡〇万円~の表示
墓じまいの広告で良く目に付く広告が「1㎡〇万円~」というものですが、これはあくまでも最低料金の目安であって一番安い料金ということですから、実際にはこの金額にはならないことがほとんどです。
下限の料金は表示されていますが、上限の料金は表示されていませんので、不気味です。
全国一律〇㎡〇万円の表示
全国一律に同じ料金と言うものは墓じまいに於いて有り得ないことです。同じ料金の時があるということの誇大広告です。墓じまいでは同じ条件のお墓は一つもありません。
或いは〇㎡の時だけこの料金が適用されて後は別と言ったことでも嘘ではありません。
よく整備されたクレーン車が横付けできる霊園と山の上にある徒歩でしか登れないお墓の墓じまいが、面積が同じだから同じ料金ということは有り得ません。
電話一本で全てお任せは危険
墓じまいはお墓を片付ける事ですから、綺麗に片付けてくれたら良いのですが、先祖が子孫のことを思って作ってくれたお墓です、思い入れの気持ちや相手を思う気持ちなどが入ったお墓を片付ける最後の時に業者に任せっぱなしは良くありません。
最後ぐらいはご挨拶をしてお断りの気持ちを手向けたいものでございます。墓じまいと言えども大切な儀式なのです。
実際にかかる墓じまいの費用
実際にかかる費用については、見積を取るしかありません、石材店の見積を依頼して高いと思ったらすぐにNPO法人やすらか庵に相談してください。状況を聞いてみて、本当にぼったくり的な金額であることが多々ありますが、意外に妥当な料金であることもあるのです。
実際の墓じまいの時には僧侶や神官を呼んで魂抜き、お祓い、お清めなどの儀式をしてもらうお布施と、石材店にはお墓から遺骨を取り出してもらう時のお礼も必要になってきます。
僧侶への御礼は3万円程度と1万円程度のお車料、石材店への御礼は作業員1人につき1万円程度が標準的な金額です。
NPO法人やすらか庵での墓じまいの料金ですが、正確な見積が必要な場合には無料見積依頼を利用してください。
墓じまいの他に改葬の費用が必要
墓じまいはお墓を撤去して更地にすることですが、もっと大切なことはお墓の中の遺骨をどうするかということです。
後継者の居ない人は後継者不要で契約できることが条件になります。
お墓に納骨された遺骨は改葬と言いまして、次の埋葬先に納骨するには遺骨一体あたり5万円から数十万円の費用が掛かります。
改葬先の例として
などの選択肢になります。この中で散骨だけは埋葬行為ではありませんので、改葬としての扱いにはなりませんので、NPO法人やすらか庵にご相談くださいませ。
寺院の離檀料
寺院の檀家であれば離檀する時に離檀料を請求されることがあり、離檀料はトラブルの原因になりますので要注意です。
本来は払う必要無し
お寺の側からの理論としては、今までご先祖様を供養し続けたのだから、離れる時には、そのお礼を差し出すべきだということです。
その金額も、場合によっては数百万円とか、とんでもない金額だったりします。
しかし、供養に必要なお布施はその都度払っているのですから、最後だからといって、特別に払う必要はなく、本来であれば、お寺から要求されるものではなく、こちらからの気持ちとしてお包みするものなのです。
お寺というものは、本来は困っている人々を救済する立場であるはずなのに、困っている人をますます苦しめるという現実を数多く見てきました。
離檀料の交渉には、場合によっては私が同席することも可能ですので、ご安心ください。
もっと詳しく…寺院の離檀料
何はともあれ無料相談を利用してみてください。
規則で決まっていると言われたら
寺院墓地で墓地の管理規則が決められている場合には、基本的にその管理規則に従う必要があります。
しかし金額があまりにも高いような場合にトラブルになりやすいのです。
「先代の住職の時もそうだったけれど、昔から離檀する時の離檀料は100万円ということになっている」などの言われ方をした場合には、形の無い暗黙の了解みたいなことですから、交渉或いは話し合いで金額を決めるしかありません。