墓じまいでいろんな場所に行かせて頂きますので、お墓の歴史や価値観を学ぶことが出来ます。これは千葉県の横芝光町の墓地ですが、海岸に近いことから地面が砂地になっていて、墓地の中でもまるで海岸を歩いているようです。
この墓地のあちこちに、このような土饅頭があり、子供の砂遊びのようにも見えますが、土饅頭の横には必ず花立があることから、昔の土葬の場所で間違いないと思います。
昔は人が亡くなれば、丸い棺桶に座った状態で入れて蓋を閉め、深い穴を掘った中に棺桶ごと埋葬するのですが、棺桶と言ってもお風呂の桶ぐらいに大きいものですから、上から土をかけてもその棺桶分、掘った土が余ると言いますか、土が盛り上がるので、土饅頭が出来るのです。
棺桶と亡き人は時間をかけて土に還っていきますが、棺桶の蓋が腐る頃には急に地面が陥没するようなこともよくありました。
昔は墓場で子供が遊んでいて急にいなくなったので探したら、陥没した地面に落ちていたなんていうことがよくあったそうです。
墓石も何もないシンプルなお墓、土を盛り上げているので、小さいながらも山であり、亡き人が降りて来る依り代の役割を果たしています。墓標は覚えている人が心の中に刻めば良いことで、今更ながら中々良いお墓だと思います。しかしこれでは石屋さんが儲かりません。