海洋散骨とは
海洋散骨とは亡き人の焼骨を粉状に粉骨したものを沖合で葬送の儀式として散布すること。
海洋投棄について
不要になった物を船で沖合に出て捨てるという行為は古くから行われてきた処分方法で、海の自浄作用と希釈作用に任せるのですから、たとえ放射能などを含む毒物であっても希釈されれば問題無しという考えに基づいています。
海に捨てるという方法は安価で簡単な方法ですから特に途上国で頻繁に行われるのですが、恒常的に行われるようになれば汚染の問題が出てくる訳で、海洋生物にも影響が出るようになることは、私達の食生活にも影響が出るということなのです。
海洋投棄とは廃棄物を海洋に投棄する方法のことで、我が国では1950年代までは一般家庭のし尿を船で沖合に出て投棄することで最終処分としていたのですが、1972年に採決されたロンドン条約によって原則禁止となり、下水道の整備わすすめたことでし尿の海洋投棄は無くなりました。
海洋汚染防止法
海洋汚染防止法は正式名称を「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」と言い、1970年に制定されて2017年に最新の改正が行われています。
この法律は船舶などから出る油や有害液体物質、廃棄物などを海洋に排出することや海底の下に廃棄することを規制することです。
この法律で重要な点は「何人も海域において有害液体物質を排出してはいけない」ということで、有害物質については船内に貯蔵しておいて、停泊時に適切な処理をすることが義務付けられているのです。
外国航路に携わる船員は長期に亘って船の中で生活するために船内での食べ物かすなどの生活ごみの海洋投棄は海洋汚染に影響が少ないので認められています。
たとえば魚を釣って調理する時に出るワタを投棄するレベルは大丈夫なのです。
プラスチックごみ問題
今世界中で問題になっているのはプラスチックごみで、ペットボトルやビニール袋などの海洋投棄ゴミが海洋生物の生態を脅かしているという事実です。
ウミガメがビニール袋を食べて胃の中に詰まっていたり、魚がプラスチックを食べていたりという事が世界中の海で起こっているのです。
私達が便利さを享受している「使い捨て文明」が海の生き物たちを苦しめているのです。
海の生き物に影響が出ているという事は、やがて私達の食生活に必ず跳ね返ってきます。
無限の広がりがあって何でも浄化すると思っていた海がもはやその浄化能力を超えた廃棄物を飲み込んで吐き出すことが出来ずに苦しんでいるのです。
散骨と環境について
海洋散骨は現在の所数ある葬送の内の一つの選択肢で、皆が利用するものではありませんが、利用者は確実に増えています。
海洋散骨は海に遺灰を散布する方法ですから、海洋汚染にならないように気を付ける必要があります。
散骨時に注意する点としては
- 充分に沖合に出ること
- 遺骨は2ミリ以下のなるべく細かい粉状にすること
- 遺骨の入れ物は水溶性であること
- 不純物を取り除くこと
- 遺骨以外の物はなるべく投棄しないこと
- 手向ける物は自然に還る物であること
などのことに気を付ける必要があります。
NPO法人やすらか庵では
葬送の目的を持った海の散骨は一人の人間につき、一回だけ行うものですから、自然の浄化作用の許容範囲の範囲内にあると判断しています。
散骨で散布するお遺骨は粉骨して粉末状にしたものを水溶性袋に入れて散布いたしますが、貴金属や不純物を取り除いて粉末化した骨はカルシウムが主成分ですし、やがて水に溶けたり、微生物に分解されて自然に還ります。
海の散骨ではなるべく沖合に出るように心がけています。
NPO法人やすらか庵では
お遺骨(遺灰)を入れるための紙袋は水溶性の紙を使用し、献花も花びらのみを海に投げます。
ビニールやプラスチックなどは使用いたしませんので、環境汚染にならないように細心の注意を払っております。
散骨というものは、故人様の生きた証として残された遺骨を粉骨し、自然に還すという目的がありますので、自然に負担をかけないように、そして、散骨をする者として、海の環境を守るためには森を保全することが大切であると自覚し、約1万坪の森(やすらかの森)を所有し、環境の保全もしております。
まだまだ他にも海の散骨に関する質疑応答があります。