位牌とは
位牌とは亡くなった人の名前や戒名などを彫った木の板のことで、故人の霊が天から降りてくる依り代となり、礼拝の対象として仏壇などに祀るもの。
魂の依り代
位牌は亡き人の魂が天から降りて来て憑りつくための依り代です。
依り代とは神仏が天から降りて来て憑りつくための目印となる物で、自然の中にある大きな樹や岩などが依り代となり、大きな樹は御神木、大きな岩は磐座(いわくら)と呼ばれ、他に山や島なども依り代になることがあります。
依り代として機能するものは自然にあるもので高さがあり、天に向かっているものです。
石で作られたお墓も先祖の依り代であり、天に向かってそびえると共に家名を刻んで魂を呼び込みます。
位牌も木で作られた先祖の依り代であり、戒名などを刻んで魂を呼び込むのです。
白木の位牌
白木の位牌とは削ったままで塗装などをしていない木の位牌のことで、人が亡くなってから葬儀までの間に作って葬儀や火葬の時に使い、持ち帰った遺骨や遺影と共に四十九日の祭壇にお祀りします。
四十九日が来る前に本格的な位牌である本位牌を準備して四十九日の法要の時に僧侶に本位牌を開眼供養、白木位牌を閉眼供養してもらい、白木位牌は四十九日の法事とお墓への納骨が済んだら寺院に出向いて納め、供養してもらいます。
以後本位牌は仏壇にお祀りして毎日お勤めします。
白木の位牌は人が亡くなってから四十九日までの間だけ使うものであり、何時までも使っている人が居ますが、本来は本位牌に作り替えるか、本位牌を作らないのでありばお焚き上げ供養を利用しましょう。
本位牌
本位牌とは人の死後、四十九日の祭壇で四十九日まで使う白木位牌の仮位牌に対して、恒久的に使うための本格的な位牌のことで、仏壇や祭壇などに祀って日常のお勤めや一周忌、三回忌などの法要で故人の供養のために使われます。
位牌には大きく分けて漆を塗ったような塗り位牌と言われる「伝統位牌」と木目を生かした家具調の「モダン位牌」があり、形としては「春日」「勝美」「葵角切」などの多くの種類があります。
大きさは昔ながらの尺寸法で表され、3寸から7寸、或いはそれ以上の大きさの位牌もあり、例えば3寸の位牌とは戒名が彫ってある板の所の寸法であり、約9cmのことで、全体の高さの寸法ではありません。
特殊な位牌
一人分の戒名や名前などを位牌の中央に彫って作る「一人位牌」と言い、夫婦の戒名や名前などを入れる「夫婦位牌」と言います。
他には一つの位牌に多くの先祖を書き込んだ「回出位牌」(くりだしいはい)や「過去帳位牌」と呼ばれる特殊な位牌もあります。
墓じまいと位牌
墓じまいではお墓を更地にして霊園に返還し、お墓の中の遺骨は散骨、樹木葬、合葬墓などの後継者が不要の選択肢を選択し、仏壇や位牌は僧侶に閉眼供養してもらってお焚き上げに出すことになります。
たとえお墓が無くなっても位牌だけは取っておく人もあり、最後まで手を合わせ続けることはとても良いことで、もし最期に不要になった時にお焚き上げに出せば良いのです。