外国の葬送

外国の葬送とお墓

人類の平和や環境問題は、もはや1国だけの問題ではなく世界的な視野で取り組んでいかないと解決しない時代になりました。

他の国の葬送の様子を見てみましょう

外国の葬送とお墓 アメリカ

アメリカの葬送

キリスト教徒の多いアメリカでは聖書の復活の思想により、遺体を火葬することが教義に反することとして、長い間受け入れられませんでしたが、火葬を推進している北米火葬協会などの活動により、徐々に増えています。

現在でも火葬は3割弱というところですが、火葬の普及と共に散骨も普及し、ほとんどの州で合法化されています。

さすがに自由の国アメリカだけあって、大型船舶で外洋に出たり、航空機で散骨したりという試みも早くから行われていました。

火葬場では遺骨を粉末化する機械が備え付けられていて、自由に粉骨することができます。

今後は環境問題や土地の有効活用などの視点から、火葬や散骨は確実に増えていくことが予想されています。

外国の葬送とお墓 インド

インドの葬送

ヒンドゥー教徒の多いインドではガンジス川は、「聖なる川」として古より神格化され、年間を通して100万人を越えるヒンドゥー教徒が、ガンジス川に巡礼に訪れます。

この川で沐浴をすれば、あらゆる罪が清められ、死んで遺灰を流せば、苦しい輪廻から離れて、悟りへとつながると信じられているからです。

巡礼の地として名高いベナレスでは、川岸の火葬場で薪で焼いた死者の灰を流すすぐそばに沐浴場があり、巡礼者が次々と訪れ、祈りをしながら沐浴します。

ベナレスは死を待つ人の施設がある街でもあります。

死期の近い人が死後にガンジス川に流されることを願い、ただひたすらに死を見つめて静かに過ごすための施設です。

死というものが私達の生活のすぐ隣にあり、ガンジス川という大きな流れが、命を生み出し、そして命を育み、生を終えたものを流し去るという循環を、繰り返しているのだなと実感できます。

死後の灰を全て川に流すので、当然お墓はありません。

外国の葬送とお墓 チベット

チベットの葬送

チベットは今でも鳥葬が行われています。

鳥葬とは、人の死体をハゲワシに食べさせることです。

死後の遺体を人里はなれた大きな岩のある所まで運び、わざわざハゲワシの食べやすいように切ってから、岩の上に乗せておきます。

すると無数のハゲワシが群がり、あっという間に骨だけが残されますが、その骨も放置されます。

仏教では相手に施すことにより、徳を積むことを説きますが、チベット仏教徒にとって鳥葬とは、人生最後の施しである自らの体を鳥に与えることであり、鳥はその体を食べて大空にはばたいていくわけですから、天界への旅立ちとも言えるのです。

土葬や水葬などもある中で、鳥葬は最も尊い行いなのです、お墓はありません。

外国の葬送とお墓 中国

中国の葬送

国は広大な国土と人口をかかえ、民族や宗教も多種多様です。

伝統的な葬送の方法として土葬が主流ですが、やはり都市部では土地の有効利用という立場から、火葬に切り替えられています。

北京・上海などの大都市では散骨を奨励し、年に数回長江沖で実施されています。

中国の人口増加問題は深刻で、全ての国民を養うことが困難なため、少子化を進めるとともに、商業活動などを自由化していくことにより、ますます人口の都市部への集中が続いています。

今後は都市部での墓地の問題はますます深刻になることが予想されます。

外国の葬送とお墓 韓国

韓国の葬送

韓国はキリスト教49%、仏教47%と、キリスト教徒が若干多い国ですが、冠婚葬祭に関しては伝統的な文化を今も大切にしています。

葬送の儀礼も三日葬と言われるように、時間をかけて、手厚く執り行います。

今でも土葬の方が多く、火葬は3割程度であり、進歩的なイメージとして受け入れられているようです。

火葬の後はお墓に納骨したり、川に流したり、骨を高熱で固めて玉にして親族に配るという方法もあるそうです。

ソウルなどの大都会でも土葬が主流で、今後は土地の有効活用の観点から、火葬が増えると思われますが、伝統的な葬送を大切にしながらの妥協案がでてくるかもしれません。


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