墓石の墓場

お墓の墓

高野山奥の院には無縁塚という塚があり、無縁になってしまった供養塔を集めた塚で、正面から見たら整然と積み上げられていますが、このように裏から見ますと中が大きな部屋になっていて、無縁になった供養塔が無造作に積み上げられています。

無縁塚の光景

無縁のお墓を吸い込んだ大きな洞窟が一杯になって、入りきれない石が入り口から溢れているという感じです。

高野山では無縁になったからと言って墓じまいをするようなことは聞いたことがありません、自然石を使った供養塔は長い時間を掛けて自然に還っていきますが、それでもこのように集められた石はまるで、大きなシュレッダーの入り口みたいに見えてきます。

投入する量が多くてシュレッダーの処理速度が間に合わないのです。

このような無縁塚では無縁になった供養塔を集めて供養しているのですが、一般的なお墓のようにカロートやコンクリートの基礎があったり遺骨が埋葬されている訳ではなく、供養塔の石材だけですから、集めてもゴミ捨て場のような感じにはならないのです。

不法投棄

墓石-不法投棄

社会的に問題となっている墓石の不法投棄は、処分費用を貰っておきながら山中に不法投棄して費用を浮かせるという悪質な方法で、少し位なら大丈夫だろうという甘い考えのもとで行っていることが常習化して、何時の間にか大量の不法投棄になってしまったということです。

墓石の一部は粉砕されて道路の基盤材として利用されたりもしていますが、基本的に適切な処分が難しく、様々な石材が混ざっていて重量や密度のばらつきが多く、上質な砂利になりません。

国内でも石材の有名な産地がありますが、石材を取り尽くした後の穴に古い墓石を並べて供養している場所もあります。

いずれにしても自然を破壊して大量のエネルギーを使って集められた墓石が不要になったからと言ってどんどん捨てるような経済主義は、地球に優しい方法ではありませんので、見直さなければいけません。