女家族と墓じまい
お墓は男の継承者が居ることで成り立っていますが、女ばかり生まれてくる家系では大人になっていずれ嫁に出て、家の継承者が居なくなります。
継承者は本当に必要ですか?
農業や林業、漁業などの一次産業に携わる人の多い地方では繁忙期には家業を家の者全員が手伝うことで家業を支え、その運営は親から子に、子から孫へと継承されていくものでしたから、どの家も子だくさんで特に男の子は家業の継承者として大事にされてきました。
男の子が家を継ぐということは、その家が繁盛し続けるということであり、とても目出度いことだったのです。
子供が女の子ばかりであっても将来養子縁組して家を継いでもらうことによって家を絶やさないという努力を地道に続けられてきたのです。
しかし今の時代は都会の生活にあこがれた若者がどんどん都会に流失し、地方では家業の廃業、そして家じまい、墓じまいという事態になっています。
地方では長男が家を継ぐという家族制度の崩壊が止まらないのです。
都会での墓の役割
都会の墓も継承者が居ることによって成り立っているのですが、近年では継承者が居なくなってしまうことによって墓じまいが増えるばかりです。
墓じまいが増えると共に後継者不要の樹木葬や合葬墓が人気なのは、後継者が居ない人が増えている証なのです。
都会で暮らす人達は「夫婦と子供」だけの世帯が多く、2世代もしくは3世代で同居しているのはほんのわずかな数であり、「夫婦と子供」の世帯は子供が大きくなって独立して離れていくと「夫婦」のみの世帯となり、やがてどちらかが亡くなって「お一人様」世帯となり、最後に孤独死というパターンが確実に増えているのです。
後継者の居ない人達にとってお墓は無用の長物であり、お墓を持つことは負の財産になってしまうのです。
都会では子孫長久を願って建てられるお墓が不要になっているのです。
今の時代に必要なのは後継者不要の樹木葬や合葬墓であり、或いは大自然に還る散骨という選択肢も確実に選ばれています。
女の子ばかりの家の行く先
女性ばかりの姉妹というものは仲が良いということが多く、結婚して嫁いでも交流が続くものです。
嫁に出たからと言っても気になるのは老夫婦のこと、そして先祖のお墓のことです。
結婚して姓が変わっても長女の婿が墓を継いでくれることもありますし、次女や三女の婿が次いでくくれることもあります。
しかし圧倒的に多いのは姉妹で協議しての墓じまいであり、出来ることなら長女だけが負担するのではなく、皆で分担することが好ましいことです。
お墓が無くなったとしても御先祖様は守って下さるでしょうし、何よりも嫁に出たから関係ないということで御先祖様のお墓が放置されて無縁仏になってしまったら無念の極みです。
私達は自分一人で生きているのではなく、いろんな人達の御縁と支えによって成り立っているのですから、そういった御縁に感謝することによって幸せの御縁を頂くことが出来るのです。