五輪塔とは
五輪塔とは宇宙を構成する地・水・火・風・空の五大要素を象徴する方形・円形・三角形・半月形・宝珠形の石などを積み上げて大日如来を表した塔ですが、死者の供養のためにも作られます。
五大要素の意味
密教ではこの世の中に存在するあらゆるものは地・水・火・風・空の五大によって構成されていると説き、大日如来とは五大の創造と破壊を司る大宇宙の根源の仏です。
- 地…砂・石・土などの大地の要素
- 水…川・海などで流れたり蒸発して漂う要素
- 火…燃焼によって溶ける・灰になる・温度が上がる要素
- 風…空気やガスの気体の要素
- 空…大空・空間・心の要素
大宇宙が五大によって構成されているならば私達の住む地球も五大によって構成され、更には私達の身体もまた五大によって構成されていると説きます。
私達の身体と五大要素
私達の肉体は直接的には両親からもらったものですが、生まれる時に宇宙の構成要素である地・水・火・風・空のそれぞれをお借りして誕生したのです。
地・水・火・風・空とは
- 地・・・土の要素 脂肪や筋肉・骨などで、死んだら土に還ります、火葬するとほとんど灰(土)になり、骨が残りますが、骨も土に埋めると長い時間をかけ土になります
- 水・・・水分の要素 血液や体液などで、死んだら水に還ります、火葬すると煙突から出て行き雲になります
- 火・・・体温の要素 生きている時は温かいですが死んだら体から火の要素が出て行って冷たくなります
- 風・・・空気の要素 酸素を取り込み二酸化炭素を排出します。体内のガスなど、死んだら体から出て行き、火葬でも体内のガスが煙突から出て行きます
- 空・・・空間や心の要素 体の分だけの空間は死んだら必要なくなり、そして生きている時に宿っていた心は死んだら抜け出して旅だちます
五輪塔と供養
五輪塔は元々インドや中国で釈迦の遺骨を入れる舎利容器として作られたと言われますが、現物が残っていないので由来がはっきりしませんが、我が国では平安時代末期頃から供養塔として見られるようになります。
五輪塔は我が国独特の塔として現代に至り、密教的な成仏の意味を持つこと、寺院の法具の形をしていることから、死者の供養のために作られてきた訳で、高野山奥の院の参道には約20万基の供養塔が並びますが、死者の供養と密厳浄土への成仏を願うために造られたものです。
現代でも一般的な墓地内に供養塔を作るのは、名前も分からない無数の先祖の供養をするために造られます。
現代のお墓に建立された五輪塔に遺骨を入れることは滅多にありませんが、墓じまいで閉眼供養する時には五輪塔や水子地蔵なども一緒に閉眼供養してもらいます。