焼骨とは
焼骨とは火葬場で荼毘に付された亡き人の遺骨のこと。
火葬後の遺骨
火葬場に到着した時の故人の遺体は棺桶の中にあって、まだ顔を見ることが出来る状態なので、炉前にて最後のお別れと焼香を済ませたら火葬の炉の中に入れられて点火されます。
1時間半程度の火葬が済んだら炉の台の上の遺体は遺骨だけの状態になりますので、ある程度冷ましてから収骨室にて運ばれて参列者には骨壺の中に収骨してもらいます。
遺体は約1200度の温度で荼毘に付されますので、火葬が済んだ遺体は高温で熱せられてほとんど灰になり、遺骨だけが焼骨となって残るのです。
焼骨の特徴
約1200度の高温で焼かれた焼骨はリン酸カルシウムが主体の成分ですが、体内に残されていた成分や治療薬の成分などが微量ではありますが含まれています。
焼骨は水分がほとんど含まれていないので、ミルや粉砕機で粉砕すれば細かいパウダーになり、この作業の事を「粉骨」と言います。
土葬で土中に残された遺骨は水分が多くて繊維質が残されていますので、粉砕機で粉砕しても粉状にはなりません。
散骨する時には粉骨した焼骨を使います。
最近では樹木葬の納骨時にも粉骨することが多いようです。
焼骨に色が付くのは
焼骨に赤、青、黄色などの色が付くことがあります。
あまりにも鮮烈な色が付きますと後で必ず話題になって、場合によっては生前の行いが良くなかったからだとか、そういう結論にされてしまうと気の毒です。
焼骨に色が付く原因として、
- 棺桶に入れた花が燃焼する時に骨に色を付ける
- 副葬品として入れた物が燃焼する時に骨に色を付ける
- 抗がん剤などの強い薬の影響
- 長年飲んだ薬が蓄積
などが考えられます。
焼骨がボロボロになっていた
焼骨がボロボロになるのは骨粗しょう症の人の遺骨です。
ある程度歳を重ねた人なら、そうなって当たり前です。
そういう時には遺骨の量が少なくて、形のある物が少なく、灰ばかりが残っています。
本人の体の状態のせいで遺骨が少ないのに、そんなことを知らなくて火葬場の職員の火葬の仕方が悪いとか、遺骨を盗んでいた、捨てていたなどと言う人が居て、訴えると言っていた人も居ましたが、火葬場の職員が死者の骨を減らしたりして得することは何もありません。
焼骨が少ない
今まで無くなった人達と同じ大きさの骨壺を準備したのに、焼骨が少ししか入らなかったのは火葬の温度が高かったからだという人が居ますが、火葬場での火葬の温度は決まっていますし、せいぜい1200度までですから、温度による違いはありません。
また火葬する場所の違いによっての違いなどもありません。
但し明治時代に行われていた薪で焚くような火葬は明らかな違いがあります。
何万度と言う温度でしかも圧力を掛けますと劇的な変化が起こりますが、現代の火葬場ではそのような操作はいたしません。
お墓の中での焼骨
骨壺に入れられた焼骨はお墓に納骨したら、湿度が高くて暗い環境の中で夏は暑く冬は寒くを毎年繰り返すのですから、結構な過酷な環境の中にある訳です。
骨壺の中の空気は朝晩の温度差が激しい時には水滴となって少しずつ骨壺の中に溜まるようになって、数十年もしたらやがては水で一杯になってしまいます。
泳ぐのが苦手だから海の散骨だけは嫌だなんて言っていた人でも骨壺の中で溺れているのですから、気の毒な事ではありますが、自分で選んだ道なので仕方ありません。
骨壺の中に水が溜まった状態で何十年かの年月を過ぎても焼骨の状態はほぼそのままです。
水に溶けたり灰になったりはしません。
またお墓の中で骨壺が割れていることがあって、誰かの納骨時にお墓を開けた時に「誰かが壊した」なんて論議になりますが、これは骨壺の中に溜まった水が冬の寒い時に凍って膨張することで骨壺を割ってしまったためなのです。