私の子供の頃はお墓というものはとても怖い場所でした。土葬のお墓がたくさんあって、今の時代のようにピカピカでツルツルの高級外車のような立派なお墓などありませんでしたので、古ぼけて崩れかけたお墓ばかりの墓地などは、夜になれば火の玉が出ると言われていたものです。夜にはとても怖くてお墓の傍は歩けませんでした。
火の玉は土葬した肉体が朽ちる時に放出する燐に火が付いたものだと言われています。土に還るということは生き物の務めではありますが、神秘的なものであり、恐れ多いものでもあったのです。墓じまいや納骨でいろんなお墓に行かせて頂きますが、少なくともカードを挿せば自動で骨壺が出てくる最新式の納骨堂には火の玉など関係なさそうです。
